誰かに聞かれたときはそうとは言えず、
「ちょっとガーデニングなぞしてみたくなって」と答えた。
それは2006年の夏の終わり。

殺風景なコンクリートの屋上の隅っこに
数枚だけ敷いていたタイルの隙間から生えてきた小さい白い花を、
ひなたぼっこしていたまこが、珍しそうにクンクンと嗅ぎ出した。
そうか、まこは生涯自然と触れ合うことなく、
雑草の香りも蜂の羽音も知らないままで過ごすことに
なるのかー、と思ったら、もういてもたっても
いられなくなってしまい、ここをまこにとっての
小さな公園にしてあげようと決意したのだった。

緑化したばかりの屋上で、まこはさっそく
探検したり昼寝したり。
相方も椅子を出してビールなんか飲んでいた。

しろたろはここでセルフブラッシング(背中を地面にこすりつける)
するのが大好き。えいたは手すりからすり抜けて、
町を見下ろすのが楽しいみたいだ。(危なっかしくて見てられないが)
まこは探検に夢中になるとお隣のスペースに入り込もうとするので
隙間に柵をつくらなければならなかった。
近くに自然があって外を出歩けたり、
広い庭がある猫たちからすれば、
それこそ猫の額、ってほどのサイズだけど、
室内飼いしているうちの猫たちにとっては
小さな楽園だったのだ。
まこが逝ってしまってからは全く出なくなったけれど、
春の花が咲く頃になったら、
また以前のように猫たちを遊ばせてあげようと思う。
ある晴れた日の午後、屋上にて。